読んでみての第一感想が「古い」。小学生の頃読んだ少年探偵団シリーズを思い出しました。まあ 40 年前の作品ですからね。「精神病院」=「キチガイ病院」となっているのも時代を感じさせます。しかし文体が災いしてか内容には今ひとつのめりこめませんでした。最後和子が未来に希望を抱きながら、それでいて待ちの姿勢なのが個人的に好きでないというのもあります。
時系列としては筒井康隆を読み、細田守を見て最後に見たのが大林版です。原田知世の弓道姿や夜道のシーンも艶があってよかったのですが圧巻は何といってもラストシーン。ベタな予想を裏切る振る舞いに心をわしづかみにされました。ただ、他 2 作と比べてタイムリープによる悪影響があまり描かれていないのが少し気になります。タイムリープを利己的に使うわけではないので描いたところで蛇足かもしれませんが。あと、カレンダーのことでごねる妹さんがほほえましかったです。あの妹さんが真琴の母親に……はならないんでしょうね。各作品の「芳山和子」はそれぞれ別人でしょうから。
2 回見に行き、タイミングの違いもありますが 1 回目は 8 割の入りといった感じだったのが 2 回目はチケットを買った時点で残り 4 席、立ち見も出る勢いでもうちょっと遅れていたら私も危ういところでした。内容はといえば前評判どおりの傑作。真琴の躍動感がそのまま伝わってきます。タイムリープを自分のために使うのがいかにも現代的ですね。千昭との馴れ初めが 3 作の中で一番自然なのもすっきりしていていいかも。ただ一点心配なのは桃を自転車のかごに入れて運んだら痛まないかということですが。
細田版時かけを見た直後、お勧めのライトノベルとして取り上げられていたのを思い出して購入したら大当たり、これはすごい。過去と未来の複雑な絡みを矛盾なくつなぐ構成や伏線をきっちり使い切るところなど読後の爽快感は一番です。若松君の完璧ぶりにやや古臭さを感じなくもないですが、すべてが一本にまとまる中でそんなことは所詮些事。一気に読ませる勢いを持つ作品です。「あとがきがわりに」ははてなでしたが。
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