最近読んだもの (2006 年 12 月)
2006-12-22


積読がどんどん増えていきます。正月にどれだけ消化できるでしょうか。

戦う司書と恋する爆弾 (山形石雄)

タイトル買いが成功。「戦う司書」は置いといて、「爆弾」――人間爆弾に改造され、人の心を奪われた少年――の恋する様がすばらしいです。決して手の届かないところにいる二人が、お互いを心の芯に据え行動するという構造が見事。

小公女 (バーネット、伊藤整訳)

アニメ『奏光のストレイン』(登場人物の名前が小公女から採られている) が面白かったところに、たまたまブックオフで見かけたので購入。主人公の名前が「サアラ」となっているのはすべて「セーラ」に脳内変換して読みました。何というか、妄想想像力の勝利ですね、これは。つらい境遇に落ちた少女が想像力を働かせ耐え忍んでいたら、財産が転がり込んできて想像が現実になりましたよというお話です。何が面白いかといえばサアラが単なる聖人君子ではないところ。人形は人形でしかなく、動き出して自分を慰めてくれないのは仕方のないことだという例えに「ラヴィニアやジェッシイにものがわからないのと同じことなのね」と言ってのけるあたり黒すぎます。

読み終わったあとで青空文庫菊池寛訳があるのに気づいたのですが、これがまたすごい。「宮様」と書いて「プリンセス」とルビが振ってあります。それならタイトルも「小宮様」とすべきではと思うのですが、なぜかそこだけは「小公女」。伊藤整訳で「肉まんじゅう」となっている食べ物が何なのか思っていたら、こちらでは「肉饅頭(ミート・パイ)」となっており疑問が解けました。

わたしたちの田村くん (竹宮ゆゆこ)

タイトルだけ見てハーレム物かと遠慮していたのですが、泣けるという話を聞いて手に取ってみました。……自分の過去と照らし合わせて心に突き刺さってきます。文章はあまり好みではありませんがストーリーを思い起こすとじわじわときます。私に田村くんの 10 分の 1 の甲斐性でもあったならばと中高生時代の自分を呪わずにはいられません。いや、当然のごとく板ばさみの恋に悩まされることなど欠片もなかったんですが。いろいろな意味で走ってこその青春ということを再認識させてくれます。

それにしても、この作品に限らず、皆さん遠めに見ただけの人物をよく覚えていますね。元来人の顔と名前を覚えられず、佐々木倫子の忘却シリーズを読んだときにこれは自分だと確信した私にとっては、まったくうらやましいを通り越して感心するばかりです。そんな私は那州雪絵の至言「


続きを読む

[マンガ・アニメ等々]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット